nap village(複合施設)

地方の廃校に新たな価値

“nap village”には、夢があります。そこは、岡山県吉備中央町の山中の廃校と周辺の自然環境全体を、住居・店舗・工房等の集まる「村」のような場所として蘇らせ、新しい暮らし方、働き方が実践されている複合施設です。

デザインの眼差しは、単に建物のカタチをキレイにつくるということを超えて、クライアントである (有)napが新たな事業所として自然環境豊かな土地を探していたニーズと、地域シンボルの分校跡地関係者の高齢化等の課題を結びつけ、廃校の再生していくという「物語」を生み出していくことに向けました。
さまざまなコンテクストを読み解き、未来に向かって物語を生み出すことが大きな軸となり、美しい環境や歴史それを引き立てるように新たにつくった建物郡がもつ雰囲気は、バラバラなようでいて大きな物語のもとに一貫しています。

そもそもの企業移転の動機にもあった、手狭な都市部の賃貸物件ではなく、郊外に自社保有化することで固定費の縮減に値する効果も得ています。また何よりも空間そのものがnapらしさを発信することができ、この場から生み出される手製の鞄にも物語の奥行きを感じることができ、価値を与えてくれています。
napは移転と同時に、自然から得るインスピレーションを大切にした新ブランド「ハチガハナ」の立上げやライフスタイルの提案を続けています。
「ハチガハナ」とはこの土地の字名、つまり今では使わなくなってしまった土地の呼び名ですが、まさにここを指す言葉を旗印に世界に届けるブランドを生み出しています。

また近年急速に問題になっている、廃校の扱いについても、民間に継承しながらも保存再生が行えた特異な事例となることでしょう。
物理的機能的には価値を失くしかけていた廃校は、保存することになんら義務もなかったにも関わらず残せています。
それはなぜでしょう。あえて書きませんが、しかし、私にもnapのオーナーにとっても自然な成り行きでした。

もうひとつ、インターネットでほとんどの情報が受発信できる今もなお、私がうまく伝えられないことがあります。ここの心地よさもその一つです。
最高のカメラマンに最高の一瞬を、写真に撮っていただいているので、この空間を体験した方になら、その写真に写し撮られた空気感を追体験いただけると思います。
しかし、絶えずうつりゆく自然の心地よさやその音、温度、うるおい、におい、綺麗な蝶が突如飛んでくる感じ、、、、などこの場でしか体験できないものが多いので、体験したことがない方にはこの空気感を伝えられているでしょうか?

機会があれば一度か二度訪れてみていただきたい。
しかし、注意は必要です。私たちが街なかで慣れっこになりすぎている親切すぎる看板はありません。
なぜならここ場の雰囲気を壊したくないから。
カフェは土日しか空いていないかもしれません。そういう場所だから。少しだけ、この土地や空間・空気に耳を澄まして、ひとときを想い想いのスタイルでおたのしみいただければと思います。

所在地 岡山県加賀郡吉備中央町上田東2395-5ほか
用途 複合施設(事務所・工房・店舗・住居・外部環境)
敷地面積 3,435㎡(約1,039坪)
用途 複合施設(事務所・工房・店舗・住居・外部環境)
床面積 事務所棟 木造・平屋建・改修……….159㎡
工房併用住宅棟 木造・2階建・新築……….191㎡
カフェ棟(&thingsハチガハナ)……….61㎡
住宅棟(オーナーズ ハウス)……….119㎡
URL http://www.nap-dog.com/
受賞歴 2013年グッドデザイン賞受賞
http://www.g-mark.org/award/describe/40348
メディア掲載 ・商店建築 2014年2月号(商店建築社)
・BRUTUS 2013年 9/1号(マガジンハウス)
・住む。No.43(農山漁村文化協会)
・I’m home No.73(商店建築社)

※(有)住吉木材工業在籍時の作品

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